Saturday, September 29, 2012

ドラマティックなカメラワーク女性写真家10人


写真家の目線や視覚、テーマやコンセプトの探求…みなさんの芸術鑑賞のセオリーって何ですか?逆に無心であること?自分本位であること?
ホンマタカシという写真家の著書に「たのしい写真」- よい子のための写真教室 - というのがあって、そのなかに「アフォーダンス」(詳細は貴著でご確認を!割愛いたします)についての章があり、現実と写真の「見え」についてなど「視覚」の定義等を対談形式でユニークにレクチャーしています。
その一節。(写真家は)「あえて日常の視覚とはもっと違うところを狙っている、という感じはしますね」という学者のひとことを、私は写真を鑑賞する時なぜかいつも思い出します。じゃあこれは狙いなの?特に今は積極的にデジタル処理をする方も多いので、アートと現実、創造世界の曖昧な境界線を存分に楽しめます。それは、写真家の主観、見る側の主観いろんなものが交錯して生まれる感情です。写真を鑑賞する醍醐味のひとつではないでしょうか。
さて、今回は一筋縄ではいかない感じがすごくいい女性写真家10人です。小悪魔、聖女、妖艶、神秘、無邪気、様々な表情に人々は無意識に操られ魅了されます。女性って愛され選ばれるための習性を持ち合わせて生まれてきてるのね、とある種の怖ささえ抱いてしまうほど複雑な感情も抱くのに、巧みなカケヒキやアプローチの前では誰もが迷うことなくついていっちゃうのです。





熊谷 直子

ひと、ファッション、静物、風景、どのシリーズをとっても主役がすごく魅力的で美しく引立っているのはもちろんなのですが、なぜかそれ以上に目で追っていたのが小道具や背景などの脇役の存在。主役より目立っている訳ではないんです。センスの良い小物、雲や空の色やかたちや重なり具合、光と影、カラートーンに至るまでのすべてがおしゃれでかっこいいんです。奥の奥のビルの窓の色までも、は言い過ぎでしょうか。決定的瞬間と思わせて…のフィクション?細部に至るまでの気配りにぞくっときました。





田尾沙織

「悠久の…」とか「永遠の…」という言葉が自然に浮かんで深呼吸したくなりました。目を閉じて今目にした作品を思い返すと壮大な旅をした気分になれます。それは見た目のスケールが誘ってくれる世界でもありますが、足下のいきものとか近影の作品からも軸が違うだけで同じような世界観を感じました。人物ならキラキラした瞳が、静物なら空気感が、祈りとかロマンとか永遠の時間を見せてくれます。けれど、東京は全く別世界。ちょっと哀しさが漂う時間もあったり。どっちのリアルもリアルで良いです。





杉本春奈

女性ならではの細やかな感情の起伏を、四季のうつろいや、風景や出来事になぞらえた言葉のない日記を読んでいるような気持ちになりました。それがあまりに赤裸々だったり、プライベートな感じがしてドキドキもします。そよ風、木漏れ日、微笑み、柔らかい時間、穏やかな日常だからこそ時々顔を見せる乾いた空気、微熱、すきま風のようなものが、大きな揺れに見えたりもします。淡いトーンの中にある光と影と様々な生きた表情がとても美しいです。





Ariko Inaoka

グラフィカルな色彩と構図が印象的で、表に現れるシリアスやメルヘン、フィクションやノンフィクション、いろいろな要素が絡み合った作品はコンセプチュアルアートをみている感覚に近いです。そこにあるオシャレ感が気難しさを感じさせず、さらっと見せているカッコ良さも魅力です。双子シリーズは続きが気になります。稲岡さんのフィルターを通したアトナーとヘプナーの成長記録、是非とも撮り続けて欲しいです。





嶋本 麻利沙

色鮮やかで透明感のあるきれいな作品です。散らかった部屋もゴミさえもアートになっていました。カッコ良いポップのような。それでいて無機質ではなく、被写体への愛着とか愛情とかぬくもりが伝わってくる味わいがあります。明と暗の絶妙な対比がよりセンチメンタルに、よりポジティブに見せてくれるのでしょうか、すごく雰囲気が良いです。ブログ、ポートフォリオ、ポートレートなど雰囲気の違う写真を存分に楽しんでください。





細倉 真弓

鉱石も、ヌードの男性も、風景も、黄味がかった緑青黒。大好きな雰囲気のうえの美しさからハアッとため息がもれて、と同時に神秘やエロスや生々しさや喪失や静寂、えぐさのようなものが順番に胸とかいろんなところを一糸乱れず回遊して何とも言えない気分になるのだけど、やっぱり最後は美しいに納まってくれました。それがすごく心地良くてずっとこのままで、と思うんです。今春の「POV FEMALE Tokyo」では少し違った色味の枯渇にしびれました。





大矢真梨子

都会的でオシャレでかっこいい作品。見下ろしたり見上げたり広げたり。じっと見つめたり、ぼんやりだったり。一見さらっとした美しい風景写真でまとまりそうなのに、どの瞬間だったでしょう?あれ、綺麗なだけじゃない?何かを求めているような共感が芽生えました。こういう出会いがすごく好きです。第六感に引き寄せられたような関心。そうやって、どんどん作家を作品をもっと知りたいもっと見たいもっと感じたいという思いが募ります。次の作品展が楽しみです。





野川かさね

山特有の表情を五感で楽しませてくれる作品に心を奪われます。著書も同様で、登山愛好家はもちろん、未経験の方をもとりこにしてしまう魅力が詰まっています。土や草の匂い、大地を踏みしめる足取り、山頂で味わう清々しさ、心を解き放つ癒しに通じる壮大さ、繊細な描写に重ね合わせる感慨、憎い演出にもやられちゃいます。冒険心やワクワクが伝わってくる「noyama」「kvina」のユニット作品からはプラスαな効力、笑顔や元気がもらえます。





中村綾緒

流れていく時間や物質。今はもうないし二度と現れないけれど写真には留まっているし永遠に保存されていく。写真の多くは記憶=印象的な何かを残していくことが多いけれど、中村さんの作品は記憶にない一瞬が多い気がします。そしてそれはすごく綺麗で、例えば一連の記憶は怯えや、恐怖でも残った記録が本当にこんな一瞬があったんだろうかという美しいものならそれに救われる人もいると思うんです。魂と肉体の決別の瞬間を撮ってもらいたいな、と思ってしまいました。





頭山 ゆう紀

時代が違えば革命家と呼ばれそうな気質の方がアーティストには多いように思います。ものごとを突き詰める作業を余儀なくされたり、流されていられない環境で創作に挑まれる方が多いからだと推測するのですが。頭山さんはそんな一人では?と感じました。レーベルの発足、共著『osorezan』の出版、PR誌『ちくま』での連載、見応えあるアートワークの連鎖は、更なる高みへの約束を得た人間にのみ渡される通行証のように思います。核心に迫る作品群です。









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アーティストとしても、一人の人間としても魅力たっぷりに輝いている10人の女性写真家たちです。


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